2013年のタイ古式マッサージ修行では、タイ伝統医学の一分野である薬草学も若干学んで来ました、とお伝えしました。
古式マッサージと薬草学、意外に思われるかもしれませんが、実は繋がりがちゃんとあります。
ここでは、
- タイの薬草学について
- ハーバルボールマッサージ体験
- マッサージバーム(軟膏)
- ハーバルサウナ体験
を、わたしの経験した範囲でお話させていただきます。
タイの薬草学について
タイ伝統医学では、それぞれに用途・効能があるとされる9つの味のカテゴリーに各食材(植物、鉱物等)を分類し、患者さんの症状に応じた処方がなされます。
9つの味のカテゴリーの効能、植物、ハーブ類の例はざっと次のとおり。
- 渋い→下痢等の腹痛、傷の回復(未熟なバナナ、グァバ等)
- 甘い→心臓/筋肉強壮、肌の回復(サトウキビ、蜂蜜、パイナップル等)
- 吐き気を催す→皮膚病、解毒、虫さされ(アサガオ科の植物等)
- 苦い→発熱抑制、血液/胆汁活性化(ニーム等)
- 辛い→ガス排出、発汗(生姜、チリ、レモングラス、バジル、クロブ等)
- 木の実風→(腱、滑液等)関節活性(ココナッツミルク、ピーナッツ等)
- 芳香性→心肺強壮、妊婦の健康(ジャスミン、パンダナスのお茶等)
- 塩味→便通促進、腸内浄化(塩、ニンニクの葉等)
- 酸味→血液浄化、喉の乾き(レモン、柑橘類、タマリンドの葉等)
これらの食材、もちろん料理して食べるという方法もありますが、タイの伝統医学では他の使い方もあります。そして、その「他の使い方」というところで繋がりが出て来るものの1つが、タイ古式マッサージなのです。
ハーバルボールマッサージ体験
マッサージと薬草学の融合、とでも呼べそうなものが、タイ古式マッサージで行われているハーバルボールマッサージです。
「これは是非本場で体験しておきたいなー」ということで、今回のタイ修行では実際に体験もしてきました。
このように布にタイハーブをたくさん詰め込んで巾着状にしたものが、ハーバルボール。
中にはタイのショウガ・プライや、ターメリック、コブミカン、レモングラス等がそれぞれのクリニック独自の配合で詰め込まれています。
中身はこんな感じ。
現地・タイでは原材料が手に入りやすいこともあり、フレッシュハーブでハーバルボールを作るのが主流のようですが、そうじゃない場合は(日本を含めて)ドライハーブを詰めて作るとのこと。
このボールを沸騰したお湯で温めたものを、全身に押し当てるような形でマッサージしていくのが、ハーバルボールマッサージ。
背中や肩がポカポカと温かくなるのを感じましたが、その持続性を考えると、おそらく温度の問題だけじゃなく、ショウガやレモングラスが効いてくれているのかなぁ、という気持ちになりました。
ブレンドされたアジアンハーブの香りがココロとカラダをほぐしてくれる点も◎、でした。
わたしは有り難いことにそれほどコリに悩まされていないのであまり感じませんでしたが、筋肉や関節のコリの軽減にも効果があるということです。
マッサージバーム(軟膏)
もう一つ、タイ古式マッサージと薬草学という点で関係が強いのは、マッサージバーム(軟膏)でしょう。実際わたしのタイ古式マッサージをお受けいただくお客様にも、使わせていただいてますよね。
タイガーバームのようなスゥッとなる軟膏。あれも、最初にご紹介したようなハーブをブレンドして作られたものなんです。
学校近くの伝統医学系市場?では、それぞれのオジサンやオバサンが独自の配合で作った自慢のマッサージバームが並んでいて、マッサージ師さんや一般のお客さんがお気に入りのものを買っていきます。
黄色のマッサージバームは筋疲労に、緑色のマッサージバームは虫刺され等に有効、といった用途の違いもあるようです(ちなみにわたしはマッサージには主に黄色のマッサージバームを使わせていただいてます)。
ハーバルサウナ体験
これはマッサージではなくサウナですが、学校で実際に体験させていただいたのでオマケで紹介しておきます。
1人用の簡易サウナで、イスに座って覆いをグルッと囲んで利用します。
写真の下の方でお鍋がグツグツ煮えているのが見えますでしょうか?
このお鍋でハーブを煮込んでいて、ここから出る蒸気を浴びる(1回15~20分が目安)という仕組みです。
ショウガ、コブミカン、アサガオ科の植物、アカシアの葉、樟脳等が入っているそうです。
効能としては、
- 血行促進
- 気管の浄化
- 肌のクレンジング
- 痛みの軽減
- リラックス効果
等が見込まれているそうですが、確かにポカポカ温まったし、樟脳のおかげか、鼻もスゥーッとなったような。
単純な作りなのにこの効果。すごい発明だと感心させられた次第です。
以上、少々長くなりましたが、タイの薬草学、お楽しみいただけましたら幸いです。