岡倉天心の『茶の本』芸術鑑賞の章で、小堀遠州に関する面白い逸話が挿入されています。
この逸話は私たちが芸術鑑賞する時にも、あるいは身に付けるものや家に置くもの、口にするもので本当の「私のお気に入り」に出会う上で大切なことを伝えてくれているように思います。
その話というのは、
遠州の門弟たちが師匠の収集する品々を褒めた時のこと。
門弟たちが曰く「どのお品も見る人皆が皆賞賛するものです。千人に一人しか理解出来ない物を集めた千利休よりも優れた趣味をお持ちです。」と。
ですが、それを聞いて遠州は恥じてこう返したそうです。
「これはただいかにも自分が凡俗であることを証するのみである。偉い利休は、自分だけにおもしろいと思われる物をのみ愛好する勇気があったのだ。しかるに私は、知らず知らず一般の人の趣味にこびている。実際、利休は千人に一人の宗匠であった。」
岡倉覚三『茶の本』より
たまたま誰かと趣味が被るということはあるでしょう。
それでも、
- 高価だから、年代物だから
- 世間一般で流行っているから
そんな理由じゃなくて、
他の誰が何と言おうと自分にとってはおもしろい、強烈に惹きつけられる!
そんな物と出会えるか?
勇気を持って選び取れるか?
みなさんはどうでしょうか?私にとっては、人生の重大事です。
そしてその選択を支えてくれるのが、ヨガ・ピラティス、居合や坐禅等で心身をフルに使って感性を研ぎ澄ますことです。
- スタジオで使う道具
- お気に入りのお店
- 育てたい植物
- 旅行したい場所
私の場合そういったものを選ぶのは、自分の感覚・感性以外の何物でもありません。
みなさんにとっても、ヨガ・ピラティスが本当の「私のお気に入り」との縁を結び、より人生に豊かさをもたらすものとなってくれたら、なんていうことも、思ったりします。
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