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五輪書的トレーニング

少し時間が出来たので、久しぶりに宮本武蔵の『五輪書』を読み直してみました。

この『五輪書』は、晩年の武蔵が二天一流(武蔵が立てた剣の流儀)の概要とその心を遺すべく綴ったもので、五輪の名のあらわす通り、地、水、火、風、空の全五巻からなります。

この五輪書の特徴をボクなりに表現させていただくと、
非常に実践志向でストレート

と言う事ができると思います。

さらに、ボク的にはこの同書の実践志向の部分がそのまま、現代のトレーナーやアスリートといった人たちにも(もちろん、そうじゃない一般のフィットネス愛好者の方にも)応用可能であるように思えるのです。

という事で、今回は『五輪書的トレーニングのすすめ』と題しまして、五輪書のトレーナーやアスリートへの応用の可能性について、少し書いてみようと思います。

ただし、一部で主張されている通り、古武術的なテクニカルな身体動作をそのままスポーツに利用する、というのは簡単ではないし、無理があるとさえ言うことができるかもしれません。

ですので、ボクの考える応用というのは、皆さんのされているスポーツをベースにして、そこに五輪書で書かれている主張や具体的な心の持ち方を重ねる、という事を前提としてお話させていただきたいと思います。

大局的な実践観を説く<地之巻>
地之巻は、ここから兵法の道の細かい所、深い所に入って行く、そのスタートと位置づけられている部分で、現代的には、

どのような心持ちでトレーニングを行ってゆくか、指導してゆくか

という所に繋がる部分が非常にたくさんあります。

たとえば、この部分(ボク流の現代語訳です)、

兵法の道を習っても、実際の時の役には立つまい、と思う心もあるであろう。そういった事については、何時でも役に立つように稽古し、全てにおいて、役に立つように教えること。これが兵法の道なのである。

この道を教え、この道を習うことで利益をあげようと思う事、誰かが「生兵法大怪我のもと」と言ったが、その通りであろう。

ゴール設定、とは違うかもしれませんが、そこに至るプロセスの、その方向性を明確に簡潔に定める指針とは、言えないでしょうか。

個人的には特に後者、この道で利益をあげ...というくだりは、亡くなった居合の先生から「これ(居合)は金にならんよ。」とよく言われていたことを思い出します。おそらく先生は、事実として居合を習う人が少なくてお金にならない、という事よりも、稽古の目的をはき違えるな、ということを暗に諭してくださっていたのだと、自分では解釈しています。

我が身と道具の実践的な使い方を説く<水之巻>
水之巻からは、内容が少しずつ細かい、深い所に入っていきます。自分の刀と体、そして心の用い方について説いたのが、この水之巻です。

刀の用い方、という所に踏み込むとかなり応用可能範囲が狭まってしまいますので、ここでは多くのスポーツに共通するであろう、心持と目付の2点に絞らせていただきます。

<兵法心持の事>
平常時の心と何ら変わる事はない...張りつめすぎず、たるませず、偏らせず、心を真ん中に置いて、心を静かにゆるがせて、、、

<兵法の目付といふ事>
大きく広く見る目である。観と見る、2つの目を使うこと。観の目(心でもって相手の心を読み取る)を強く、見の目(目で相手の動きを見る)を弱く、遠い所を近くに見、近い所を遠くに見るような見方で、、、

どうでしょう、描写がかなり具体的になってきてはいませんか?個人的には、こういった部分が、禅の思想や自然法則に仮託した文芸的表現の多い他の武術の伝書類に比べ具体的だと思う所以なのですが、もしかすると、これでもまだ抽象的に感じられるかもしれません。

そんな人のために、武蔵が五輪書全編にわたって繰り返し強調している最強の言葉があるんです。

能々吟味、工夫あるべし
水之巻の描写がまだ抽象的に感じられる方が、それらの内容をより具体的に捉えられるようになるためには、一体どうすれば良いのでしょう。

さすが宮本武蔵、その方法もしっかり遺してくれています。それも、ものすごくシンプルな言葉で。各巻それぞれの項目の文末に、これらの言葉が頻繁に登場します。

能々吟味あるべし。

能々工夫すべし。

つまり、やれ!練習せい!!!と。

実際に何度もやってみて、武蔵が説いているような状態になれるように吟味して、工夫して、調整していけ。そういうことのようです。

シンプルだけど実に力強く、強いインプレッションを与えてくれるお教え。

一度読んでみて何かを感じたら、トレーニングでもスポーツでも、工夫と調整を繰り返す実践志向の五輪書的トレーニング、いかがですか?

(ちなみに火之巻は意思を持った相手との駆け引きについての具体的指針で応用範囲が狭まること、風之巻は他流派との比較、空之巻は前回お話した「苦しみからの自由、無心」と被るところが多い等の理由で省略させていただきました)

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